各国の気象関係機関と実働部隊の関係

暇だったので調べてみたメモ。GDP10位までの事例を抽出。
実働部隊は救援活動・調査活動混合。

アメリ

気象関係機関

・商務省-海洋大気庁-アメリカ国立気象局
 連邦航空局、国防総省と共同で自動地上気象観測システムを展開
 ほぼボランティアで運営されている共同観測者システムがある
内務省-アメリカ地質調査所
 地震火山等の分野の研究機関
国土安全保障省-連邦緊急事態管理庁
 災害発生時に合衆国政府と州・地方の調整及び資金面での支援を行う

実働部隊

・海洋大気庁士官部隊
国防総省-アメリカ国防安全保障協力局

所感

細かく分けられており複雑に見えるが、連携等を行うことで重複している部分は少なく、非常事態時には一体的に運用できるよう調整機関の整備も成されている。

中国

気象関係機関

・国務院直属事業単位-中国気象局
 中国全土の気象業務の行政管理と組織管理
・国務院直属事業単位-中国地震
 中国全土の地震観測と地震防災・減災業務の行政管理と組織管理
・(香港天文台マカオ地球物理気象局)

実働部隊

専門機関なし(?)
武装警察部隊、人民解放軍が担当

所感

シンプルな構成ながら軽く調べる程度では内部構造はわからず。

日本

気象関係機関

国土交通省
国土交通省-気象庁
・各種独立行政法人
防衛省-陸上自衛隊-中央管制気象隊
防衛省-航空自衛隊-航空気象群
防衛省-海上自衛隊(気象観測業務)
 組織構造わからず

実働部隊

国交省-緊急災害対策派遣隊
 国土交通省の災害発生時の派遣部隊
気象庁-機動調査班
 気象庁による災害の状況把握の為
・(基本的に市町村の要請から)防衛省-陸上・海上航空自衛隊

所感

各自が必要に応じて組織を設置していくのはアメリカ的ながら、各組織間の連携が殆ど成されておらず、それぞれに似たような研究機関-実働部隊という構造が形成されている。

ドイツ

気象関係機関

・交通・建設・都市開発省-ドイツ気象局

実働部隊

・ドイツ連邦軍(-救難業務軍)

所感

自然災害が比較的少ないところということもあってか、簡素な印象。

フランス

気象関係機関

エコロジー・持続可能開発・国土整備省-気象・エネルギー総局

実働部隊

不明
(・内務省-民間防衛局)
(・国防・退役軍人省-フランス軍

所感

気象局はニューカレドニアフランス領ポリネシア等フランス領の各地でも予報・警報を行なっているとのこと。欧州の気象衛星に関する欧州気象衛星開発機構で中心的役割も担っているとか。

ブラジル

気象関係機関

・農務供給省-ブラジル国立気象研究所

実務部隊

不明
(・国防省-ブラジル軍)

所感

気象研究所が農務省の管轄というあたりが面白い。防災・減災までは手が回ってないという感じか。そして、ブラジル軍は予算不足に苦しんでいるようだ。

イギリス

気象関係機関

・ビジネス・イノベーション・職業能力省-イギリス気象庁
 商務省に設置→第一次世界大戦空軍省に→海軍にも分割→国防省→今に至る、で海軍は現在も独自で気象を扱っているそう。陸軍・空軍には紛争地域の前線も含めて気象庁職員を派遣しているらしい。

実務部隊

不明

所感

気象庁職員を紛争地域の前線にも派遣しているというのは凄い。軍の気象部門から独立という流れも興味深いところ。

イタリア

気象関係機関

・イタリア空軍-イタリア気象局(空軍気象部)
 陸軍山岳部隊司令部・森林警備隊と連携した雪崩等の山岳気象サービスの提供等

実務部隊

不明

所感

軍隊の内部機関が一般にもサービス提供を行うという構造。故に、機密の関係で柔軟性に欠ける部分もある模様。

ロシア

気象関係機関

・ロシア天然資源・環境省-ロシア水文気象環境監視局
国防省-連邦軍兵器部気象局
・民間防衛問題・非常事態・自然災害復旧省

実務部隊

・非常事態省-ロシア民間防衛軍
 2011年までに軍事部門を無くし消防機関へ移行?

所感

非常事態省の内部に常備軍というかたちで実働部隊が存在というあたりが特色か。2011年までに消防機関へ移行とのことなので現状どうなっているかはわからず。

インド

気象関係機関

・地球科学省(?)-インド気象局

実働部隊

不明

所感

よくわからず。ブラジルと同じく防災・減災分野までは手が回っていない感じか。

まとめ

成立の過程も運用形態も多様であることが読み取れる。防災分野・対応する部隊は国の発展の度合いと、災害の発生しやすさが組織形成に影響する傾向にあるようだ。日本においては欧州の組織構造を参考にしたが、災害発生数が欧州とは異なっており、実態に合わせるため、内部的に組織を改編していった結果、どの組織にも似たような構造ができたのではないかと推測する。各組織が連携を取り、情報を統合的に扱うことが出来れば、というところであるが、防衛省内部の陸海空、各自衛隊にも気象業務の部門があるあたり、そのような統合が容易ではないことを伺わせている。